15歳の君へ

16年前、私は15歳になろうとしていた。毎日とても幸せと実感していたわけではないが、困難に直面したことも心の底から悩んだこともほとんどなかったように思う。1月17日の朝、何が起きたのか少しずつ理解できたのは、地震から数時間たって電気がつくようになってからだ。テレビの画面に映し出される恐ろしい光景、台所の床にちらかった鮭の粕汁(前の晩の残りが鍋に残っていて、それが床一面にこぼれていた。だから今でも鮭の粕汁を食べるとその日のことを思い出す)、ほとんどすべてぺしゃんこになっている町内の様子、そして家族で自宅を離れて避難しなければならない現実を目の当たりにした。ガスや水道は震災後2ヶ月くらいで復旧したように記憶しているが、その間不自由なことがいろいろとあっても決して弱音をはかない両親をはじめ、いろんな人に助けてもらいながらいつもどおりの生活をとりもどしていくことができたのだ。
その経験をした自分には今何ができるだろう。いろいろな偶然が重なって生きている自分には。何かあるんじゃないかな、とずっと考えています。